「データが入力されている」と「データが正しい」は別の話です。完全性の高いデータでも、入力された値そのものが誤っていれば意思決定を誤らせます。この「値の正しさ」を評価するのが正確性(Accuracy)です。
完全性と正確性の違い——マトリクスで整理
正確性を理解する最も簡単な方法は、完全性と対比することです。「値あり×正確」が理想、「値あり×不正確」が正確性問題、「欠損」が完全性問題です。
正確性の問題は、完全性の問題より発見が難しい点が特徴です。NULL(空欄)は機械的に検出できますが、「東京都千代田区1-2」と入力された住所が正しいかどうかは、多くの場合、郵便番号マスタなどの外部データとの照合や業務担当者による確認が必要になります。
正確性エラーの3分類
実務で発生する正確性エラーは大きく3つに分類できます。それぞれ発生原因が異なるため、対策も異なります。
このうち「古い情報」は特にやっかいです。入力時点では正確でも、時間の経過とともに正確性が失われます。この状態はデータ品質における「最新性(Timeliness)」とも密接に関係しており、正確性と最新性はセットで管理する必要があります(詳しくは最新性の記事で扱います)。
正確性の確認手法——3アプローチ
正確性の検証には目視・マスタ照合・統計的手法の3つのアプローチがあり、データの種類・量・予算によって使い分けます。
BFTのアプローチ
BFT Insightの診断では、対象データの種類に応じた検証手法を組み合わせて正確性を評価します。法人番号や郵便番号などの公的マスタとの照合、数値項目の外れ値候補の抽出、業務担当者とのサンプル確認を組み合わせ、単なる「欠損チェック」に留まらない正確性診断を提供します。
まとめ
- 正確性とは「入力された値が現実と一致しているか」を評価する指標で、完全性(値の有無)とは別の問題
- 正確性エラーは転記ミス・古い情報・システム変換エラーの3種に分類でき、原因によって対策が異なる
- 検証手法は目視・マスタ照合・外れ値検知の3つを、データの種類・量・予算に応じて使い分ける
5次元シリーズ
前回:完全性 次回:一意性(近日公開)
よくある質問
正確性の問題はどうやって見つければよいですか?
まず業務上の異常(「この顧客に郵便物が届かない」「この価格はおかしい」)からさかのぼる方法と、統計的手法(外れ値・平均からのずれ)で機械的に検出する方法があります。全件を確認することは現実的でないため、影響の大きいフィールドを絞り込んでサンプル確認するのが現実的です。
正確性と整合性は何が違いますか?
正確性は「その値が現実と一致しているか」を問い、整合性は「複数のシステム・テーブル間でデータの定義・表記・値が揃っているか」を問います。Aシステムに「株式会社ABC」、Bシステムに「㈱ABC」と登録されている場合、値はどちらも正確でも整合性に問題があります。