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データ品質の基礎知識
データ品質の基礎知識2026年8月14日

データ品質の「整合性」とは?システム間・部門間でデータが揃わない原因と対処法

「BIレポートの数字が部門によって違う」「在庫システムと会計システムで在庫数が合わない」——こうした問題はデータの「整合性」が保たれていないことから生じます。整合性(Consistency)とは、複数のシステム・データセット・時点の間で、同じ対象や関連するデータに矛盾が生じていない状態を指します。実務では、コード体系やフォーマットの不統一も、整合性の問題として扱われることがあります。

整合性の問題を4つの観点で整理

実務上、整合性の問題は「システム間で同じデータの値が違う」「時系列で矛盾する」「コード体系が統一されていない」「フォーマットが混在する」という4つの観点で整理できます。それぞれ発生原因と対処が異なります。

整合性の4種類
システム間整合性
例:顧客の住所がCRMと基幹で異なる
原因:更新がどちらかにしか反映されない連携設計
時系列整合性
例:修正前の受注金額と修正後の請求金額が紐づかない
原因:更新履歴がなく最終値しか残らない設計
コード体系整合性
例:部門コードが部門マスタと実績データで体系が異なる
原因:コード改定時に全テーブルを更新しなかった
フォーマット整合性
例:日付が「2024/01/01」「20240101」「Jan 2024」で混在
原因:入力システムごとに形式の規定がない
整合性の問題の4つの観点——タイプを特定することが解決の第一歩

整合性の問題が引き起こす業務影響

整合性の問題は「見た目の不揃い」で終わらず、BI・AI活用と業務フローの両方に波及します。整合性の問題が表面化しやすいのがBIレポートや経営ダッシュボードです。部門ごとに集計元・集計ルールが異なるデータを参照していると、「営業の売上」と「経営の売上」が食い違い、会議の議題が「正しい数字はどれか」の確認作業に費やされます。この状態では、BI整備の効果が出る前に現場の信頼を失うケースが多く見られます。

AI・機械学習の活用局面でも影響が生じます。複数システムにまたがるデータを学習データとして使う場合、整合性が取れていないと特徴量の定義や対象範囲がシステム間でずれ、モデルの学習・評価結果や予測精度に悪影響を及ぼす可能性があります。整合性の問題はAI化・自動化の前工程であるデータ整備コストを押し上げる要因の一つです。監査・内部統制の面でも、ERPと会計システムで在庫・売上数値が一致しない場合、照合や原因確認の工数が増えます。また、不一致の原因や統制上の問題によっては、内部統制上の課題として扱われる可能性があります。

不整合が発生しやすい3つのタイミング

整合性問題は突然生まれるのではなく、特定のタイミングで発生します。原因を把握することで、再発防止策の設計が容易になります。

不整合が発生しやすい3つのタイミング
システム移行・統合時
·旧システムのコード体系をそのまま移行→新マスタと不一致
·移行ツールの変換ルールに漏れ→一部レコードのみ形式が異なる
手動更新時
·片方のシステムだけ更新→連携先が古い値のまま
·Excelで修正してインポート→タイムスタンプや関連コードが更新されない
システム連携・API処理時
·API仕様差異による型変換でNULLや0が混入
·連携タイムラグにより「更新前」「更新後」の両データが一時混在
不整合が発生しやすい3つのタイミングと典型パターン
システム間データ整合性のイメージ

整合性問題の解消ステップ

整合性問題の解消には「どのデータ項目について、どのシステム・データを正とするか」という合意形成が不可欠です。技術的な修正より先に、業務部門との合意が必要になります。

整合性問題の解消ステップ
1
不整合の全量把握
比較すべきシステム・テーブルを洗い出し、件数比較・サンプリング・全件照合など、データ量と重要性に応じた方法で不整合を把握
2
System of Recordの決定
どのデータ項目について、どのシステム・データを正とするか(System of Record)を業務部門と合意
3
差分の是正
System of Record以外のシステムを正の値に更新。自動同期か手動かを判断
4
連携ルールの設計
データ項目ごとに正となる情報源と更新責任を明確にし、必要なシステムへ適切に連携されるようフローを見直す
整合性問題を解消する4ステップ

実務で最も難しいのは「ステップ2:System of Recordの決定」です。CRMを管理する営業部門とERPを管理する情報システム部門で「どちらを正とするか」の主導権が一致しないことがあります。正とする値は業務上の管理責任・更新ルール・使用目的を踏まえて項目ごとに決定する必要があり、それぞれの定義・更新責任者・更新タイミングを文書化しなければ、是正後も同じ問題が再発します。

BFTのアプローチ

BFT Insightでは、複数システムにまたがるデータの照合診断を実施し、不整合の全量・種類・発生源を特定します。特に「どのシステムをマスタとするか」の業務部門との合意形成を重視し、システム改修・連携ルール設計の前段として支援します。

5次元シリーズ

前回:一意性 次回:最新性(近日公開)

よくある質問

Q

整合性と完全性の違いを教えてください

A

完全性は「値が入っているか」(欠損の有無)、整合性は「複数箇所の値が揃っているか」(矛盾の有無)です。顧客の住所が全システムで空欄なら完全性の問題、CRMには入力済みだが基幹システムでは別の住所になっているなら整合性の問題です。

Q

システム数が多くて全部照合するのが大変です

A

全システムを一度に照合する必要はありません。まず「同じデータを保持しているシステムペア」を特定し、業務影響の大きいものから順に照合します。たとえば顧客住所を持つCRM・ERP・メール配信ツールの3システムから始め、不整合の発生規模を把握することが効果的です。

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